2018/01/02

Ableton Tips : How To Build One Knob Filter

Pioneer DJMシリーズなどに搭載されているようなワンノブタイプのフィルターを、
Ableton Live 9 SuiteでMax for Liveデバイスを利用して設定する方法を解説します。

使用するデバイス
・Audio Effect Rack
・Auto Filter
・XY Pad
    (CATEGORIES > Max for Live > Max Audio Effect > XYPad)


 Type A  Type B の2通りの設定方法を解説します。

テキストの最後にOneKnobFilterラックプリセットデータ(adg)のDLリンクを用意しています。
図解の補足に活用ください。




<<ここから解説スタート>>



  OneKnobFilter Type 
A-1~10の手順でType Aの設定方法を解説していきます。

  A-1  
AudioEffectRackを準備し、そこにXYPadとAutoFilterを2セット挿入する。

ここでは左の"XYPadとAutoFilter"をLPF用右の"XYPadとAutoFilter"をHPF用とします。

XYPadを用いてノブの動きとパラメータの実際の変化を均等ではなく可変的にします、この部分が肝。以下のように設定してみてください。




まずは左側のLPF用セクションを設定します>>



  A-2  

左側のXYPad上でX軸の設定画面を選択し、カーブを画像のように設定する。





  A-3  
XYPadのMapをクリックし、AutoFilterのFreqをアサインする。




  A-4  
AudioEffectRackのマクロコントロールに、XYPadのXをアサインする。

アサインしたマクロコントロールノブを動かすとノブの半分あたりでLPFが開き切るようになります。レゾナンスの値をある程度高めに設定しておくと効果的です。ノブとフィルターの関係はXYPadのカーブを微調整することで追い込むことができます。(XYPadのカーブ調整に満足できない場合は後述の方法を参考ください)





<<次は同様の手順で右側のHPF用セクションを設定します>>




  A-5  

右側のXYPad上でX軸の設定画面を選択し、カーブを画像のように設定する。




  A-6  
フィルタータイプをハイパスに変更し、XYPadのMapをクリックしてAutoFilterのFreqをアサインする。



  A-7  
XYPad上でY軸の設定画面を選択し、カーブを画像のように設定する。
LPFではレゾナンス値は固定としましたが、HPFの場合、低音域の不要な音色変化を避ける為、フィルターを戻しきった際にレゾナンス値が0になるような可変設定をします。


  A-8  
Min0% Max80% 程度に設定する。
レゾナンスのかかり具合の設定になります、Maxは好みに合わせ調整してください。



  A-9  
MapをクリックしてAutoFilterのResをアサインする。




  A-10  
AudioEffectRackのマクロコントロールにXとYをアサインする。



全て同じノブにアサインします。



以上でワンノブフィルター(TypeA)の完成です。




さらに設定を追い込みたい場合は以下を参考ください。



<<LPFを開き切った際の高音域の音色変化が気になる場合>>

A-7~10を参考にLPFにもレゾナンス値の可変設定をしてみてください。
LPFの場合、フィルターが開き切った際にレゾナンス値が0になるようにカーブを調整します。




<<XYPadのカーブ調整に満足できない場合>>

XY Padの代わりにTom Cosm -MultiParameter Curves2.0を利用します。Multi Parameter Curvesはカーブの形をより自由に設定できるため、ノブ位置での数値の変化をより細かく設定できます。レゾナンス値のコントロールも細かく設定できるため、より効果的なフィルターコントロールが行えます。


maxforlive.comよりDL可能
http://c74.maxforlive.com/library/device/4172/multi-parameter-curves






  OneKnobFilter Type 
B-1~10の手順でType B設定方法を解説していきます。

ver9.5以降で新たに搭載された純正フィルター(Clean以外)をはじめ、設定によっては通すだけで音色変化や音量変化が起こるサードパーティー製フィルタープラグインも少なくないと思います。そこでType Bでは、AudioEffectRackのチェーン機能を利用して、ノブの中央部でフィルターがスルーされる設定のワンノブフィルターの組み方を解説します。


  B-1  
AudioEffectRackを準備し、チェーンを3つ作成する。

上から
・LPF
・dry
・HPF
とします。



  B-2  
各チェーンのゾーンを以下のように設定する。
・LPF 0-61
・dry 62-66
・HPF 67-127
(後ほどフェード設定含めた微調整を行います)



  B-3  
LPFのチェーンにLPF用の"XYPadとAutoFilter"を1セット挿入する。



  B-4  
A-2~4で行ったものと同様の設定を行う。


  B-5  
HPFのチェーンにHPF用の"XYPadとAutoFilter"を1セット挿入する。



  B-6  
A5~10で行ったものと同様の設定を行う。


  B-7  
AudioEffectRackのマクロコントロールにルーラチェインノブをアサインする。


Type Bでのマクロコントロールへのアサインは以下のようになります。



  B-8  
フィルター動作時とスルー時の音量調整を行う。

チェーンが切り替る際にノイズが目立つ場合はフェードを設定して調整します。

以上でワンノブフィルター(TypeB)の完成です。



 <<使いこなしのための提案>>

        


ワンノブ以外にもう1つボタンコントロールが確保できるなら、そこにAudioEffectRackのデバイスオンオフボタン(ワンノブフィルターの有効無効)をアサインするのはどうでしょうか。PioneerDJMの操作感にもより近づき、より幅広いプレイが可能になります。



        
各トラックにアサインしたワンノブフィルターをMultiMapper16などにまとめてアサインするのはどうでしょうか。APCやPushなどAbletonLive用コントローラで、1つのトラックを選択したまま一括してフィルター操作等が可能になります。



maxforlive.comよりDL可能

http://www.maxforlive.com/library/device/1813/multimapper16



        
フィルターと同時に他のエフェクトがかかるように設定するのはどうでしょうか。
下記リンクよりDLいただけるOneKnobFilterラックプリセットデータ(adg)の中に一例としてフィルターと同時にディレイ(HPF時)と歪み(LPF時)がかかる設定を用意してみました。応用の参考にしていただければ幸いです。

https://www.dropbox.com/s/0jtco58tglgylzq/OneKnobFilter_v180102.zip?dl=0






お問い合わせは
tremorela(at)gmail.com
まで
解説の間違い、データ問題等ありましたらご指摘くださいませ。








2015/11/03

audient iD14

ライブ用にオーディオインターフェイスを新調しました。

いままで使用してきたオーディオインターフェイスと比べて使用感が異なる部分があったので、軽くレビュー書いてみます。
入出力など基本的なスペックや音質についてはほぼ触れていませんが、購入を検討されている方の参考になれば幸いです。



現在、スタジオワークで主に使用しているのは、RME UCXとUniversalAudio Apollo Quad FW。
先日までライブ用に使用していた機種は、MOTU MicroBook2。こちらは自分の使用している個体では、出力の不具合が続いたので現役引退です。(ちっちゃいのに多機能な使えるやつでした、後継機種を期待しています)

これらとの比較も交え、audient iD14の印象をまとめてみました。

||||| 外観、付属品 |||||
MicroBook2を1回りちょっと大きくした程度の大きさ、持った際のずっしり感は随分違います。
本体色のシルバーは、MacbookProにかなり近い色合い。
コネクタとボタン以外は、金属製のパーツで構成されていて堅牢な印象。

付属品は、USBケーブルと電源アダプター。
ファンタム電源を使用する場合は、電源アダプターからの給電が必要とのこと。
バスパワー使用時と電源アダプター使用時では、音質に差があるというレビューもあったので、これは是非試してみたいところです。



||||| ボタン、エンコーダ |||||
下部のボタンで選択した項目(スピーカアウト/iD/ヘッドフォンアウト)を、エンコーダで調整します。
エンコーダはクリック付き。

アウトプットの項目を選択した際には、 中央のメータに現在の値が表示されます。
おおまかな表示ですが、視覚的にわかりやすくライブ時にも便利だと感じました。(MicroBook2の場合はソフトウェアの画面で確認する必要あり、UCXは本体に数値のみの表示)

ンコーダをクリックすると、選択中のアウトプットがミュートされます。
ヘッドフォンアウトも独立してミュートできるのは嬉しい仕様、意外と重宝する場面があるはずです。
その際、ボタンが点滅しミュート中であることを知らせてくれます。これも充分わかりやすい。

真ん中のiDボタンですが、このボタンにアサインして使用できるScrollControlという機能が便利です。

この機能を使うと、DAW画面の操作したいパラメータ(ノブやフェーダなど)を、マウスやトラックパッドで動かす代わりに、iD14のエンコーダで値を 動かすことができます。
エンコーダがフィジカルコントローラ的に機能するイメージです。(Novationのコントローラに付いていたSpeedDialと同様の機能)

色々と試したところ、うまく反応しないパラメータもありましたが、フィジコンが苦手とする「いま操作したいパラメータに、すぐに触れる」ことが簡単にできるので、シンプルながら重宝する機能だと思います。

現行機種で、この手の機能を装備しているものって他にあるのでしょうか。近いものとしてGriffinTechnologyのPowerMateが思い浮かびますが、同じようなことができそうでできなかった気が。



||||| ソフトウェア、気になったこと |||||
ミキサーソフトウェアもハード同様にわかりやすく使えます。ただ、表示幅が固定なのが気になりました。

DAWからはステレオ2系統の音声を送れるようになっており、さらにiD14ミキサーソフトウェア内でサブミックスを作成することもできます。これらはマイクレコーディング時に重宝する機能だと思います。せっかくなのでヘッドフォンアウトが2系統あれば、本機のコンパクトさを生かしたモバイルレコーディングツールとして、さらに便利に使用できるだろうなと思いました。

そのほか、トークバック機能も備えていたりと、レコーディング用途を考慮された機能が備えられています。
アナログ入力数が少ないので、多少大げさな機能を盛り込んでいるように感じられるかもしれませんが、ADATイン(S/PDIF切り替え)を備えているので、それによる拡張時には活用できる機能だと思います。

ワードクロック端子は備えていませんが、外部デジタル入力をクロックソースにすることができるので、それを用いて音質の傾向を変える、といったお楽しみも可能かと思います。

本体こそ小さいですが、ある程度設備のそろった環境において、扱う回線数が少なければ、メインのオーディオインターフェイスとして充分に使用できる機材といった印象を受けました。
特にモバイル向きに設計されているというわけではないようですね。

ソフトウェアミキサーについて続けます。
DAWからの音声もオーディオインターフェイス内のミキサーで+6db稼げる仕様になっています。
これはあまり見かけない仕様のように思いました。

そして、その仕様と関連するのかもしれませんが、使用してみて癖を感じたのが、iD14はDAWの出力レベルのピーク管理にかなりシビアになる必要があるということ。

DAWのマスターアウトが0を超えるとiD14の内臓ミキサーで簡単にクリップしてしまうようです。
ableton LiveのようにDAW内で+6あたりまで突っ込んでも平気な仕様に慣れていると、これは戸惑うと思いました。

RME、UA、MOTUのいずれもデジタルミキサー機能のある機種ですが、どれもここまではシビアではありません。
デジタルを扱うなら、その程度は管理して然るべき、という襟を正させられるような気持ちにさせられます。
しかし、いままで随分とデジタルの便利機能に甘やかされてきてるんでしょうねぇ。。



iD14のルーティングの設定にはDAW THRUという機能があり、このルーティングを選択するとDAWからの音声はiD14内臓ミキサーを通らずに出力されます。この場合、内臓ミキサーを介さないためiD14のエンコーダでのボリューム調整ができなくなりますが、前述したクリップは起こりません。

このことからもクリップはミキサーソフトウェア上で起こっているように思われます、ということは将来的にソフトウェアのバージョンアップでクリップしにくい仕様になることもあり得るのでは、と思いました。

以上まとめると、これはやはり現状では、丁寧に音作りを行うスタジオワーク向きな機種だという印象を受けます。

ソフトウェアのバージョンアップで、入力の扱いやすさが楽になるのであれば、もっとカジュアルな使用用途にも向くのでは、と。
同価格帯で競合できる機種が見当たらない製品だけに、是非そうなって欲しいものです。
今回はそういう期待も込めてレビューをアップしてみました。

ライブ使用を目的に購入した自分はどうしょうかしら、というとこですが、製品の作りや音質は気に入っているだけに、もう少し様子見ます。








2014/09/27

Novation LAUNCH CONTROL XL

入手してから分かった事も多かったので、レビュー記事をアップしてみました。
購入を検討されている方の参考になれば幸いです。







||||| 外観、付属品 |||||

外観は光沢のあるグレー。
ネット上の画像よりも光沢は目立つと思います。
グロッシーグレーとでも表現すればよいのでしょうか。

底面のみオレンジとなっており、全体に滑り止め効果のあるゴム加工が施されています。

付属品のUSBケーブルがL字型で、これは便利だと思います。


||||| フェーダ、ノブ、ボタン |||||

フェーダは多少重さ(抵抗)のあるタイプ。
リズミックなフェーダプレイよりも、細かいボリューム調整に向いているように感じます。
Native InstrumentsのPCDJコントローラよりも少し重い、くらいの印象です。

ノブも同じく多少重さのあるタイプ。
すべてのノブにセンタークリックが付いています。
人によってはノブの間隔が少し狭いと感じるかもしれません。

ボタンは押し込む際に、コリっとした引っかかりのような感触のあるもの。
Ableton PUSHのミュート、ソロボタンと同系のものです。




||||| Templates |||||
テンプレートは、Factory、User共に8シーン。
同社のLAUNCH CONTROLと同様の仕様でしょうか。

Factory Templatesは、
・1、Ableton LIVEのMIDI Remote Scripteに対応したテンプレート
・2〜8、MIDIチャンネル、CC情報、LEDカラーがあらかじめ設定されている(変更不可)汎用テンプレート

User Templatesのほうは、8シーンを自由に設定可能で、ライブパフォーマンスにも活用しやすい印象を受けます。
特にボタンは、シーンを変更した際にフェーダやノブのように位置と実際の数値のずれが発生しないので、アサイン次第で、効果的なコントロールが可能になると思いました。
(例えばBeatRepeatのIntervalや、ArpeggiatorのRate、ダミークリップのトリガーなどなど..)


User Templatesでの設定可能項目は、MIDIコントローラとしては基本的なものだと思います。


・ノブとフェーダはCCのみ設定可能

・ボタンはCCとNoteも設定可能
・ボタンの振る舞いは、"押すたびにオンオフ" (Toggle)と"押したときだけオン" (Momentary) の二種
・ノブのLEDカラーは、エディターで設定可能
・ボタンのLEDカラーは、DAW等からのFeedbackで有効となる仕様(LAUNCHPADユーザにはお馴染みの仕様だと思います)


Factory Templates 1では、新たな設定の必要なく、ボリューム、パン、センド、ミュート、ソロ、アーム、とデバイスのほぼ全てのパラメータにアクセスすることができるようです。(いくつかのインストゥルメントで、アサインされていないパラメータがありました)


ラック内のデバイスにもコントローラで手が届く仕様は、PUSHと同じような操作感ですが、PUSHが本体表示でどのノブに何がアサインされているのかを事前に確認できるのに対し、LAUNCH CONTROL XLではノブを動かしてみなければ分からないので、その点は注意が必要な気がしました。


もう一つ操作上、気になった点。
Ableton LIVE用のコントローラの多くは下の画像のように、現在コントロール可能な範囲がLiveのセッション画面上に黄色枠となって表示されていると思いますが、
LAUNCHCONTROL XLの場合、クリップをコントロールする機能が無いためか、枠では表示されずLive画面下部のステータスバーにメッセージとして表示されます。どのトラックが選択されているのかが視覚的に分かるようにはなっていません。ライブパフォーマンス中にコントロールするトラックを変更しての操作は、かなりの慣れが必要な気がしました。









また、これはLIVE側の問題だと思いますが、シーンの切り替え等によって、ハード側で数値が変わった場合、テイクオーバーモードが作動しないという現象が起こりました。

LAUNCHCONTROL XLのようなコントローラをフル活用する場合には、非常にネックになる問題です。
仕様なのか、個人の環境の問題なのか、原因特定に努めたいと思います。(仕様じゃなければいいのですが..)


|||||まとめ|||||
幾つか気になる点も指摘しましたが、ライブセットでは、デバイスやトラックへのアクセスを容易にすることが前提だと思うので、(テイクオーバーモード以外の)これらの点は解決されると思います。
主にライブでの使用の為に購入しましたが、手元に設置しやすいコンパクトさで、基本的な操作子に簡単にアクセスでき、ラック内のデバイスにも手が届く仕様は、制作にも積極的に使用してみたいという気持ちになりました。
感覚的にオートメーションを書く機会は確実に増えるでしょう。


ノート入力やクリップコントロールの機能は備えていないので、他のコントローラと併用することで快適な操作環境を構築できるコントローラだと思います。

LAUNCHCONTROL XLの比較機種としては、
Livid Instruments DS1
Livid Instruments Alias8
が挙げられると思います。サイズ、端子数、デザイン、価格、設定の自由度、の何れを優先するか非常に悩ましく感じます。Livid Instruments機種は機会があれば是非試してみたいですね。

また、
ALLEN&HEATH K2
VESTAX VCM-600
比較機種として挙げれると思います。オーディオインターフェイス内蔵(K2)、多数の操作子(VCM-600)等、魅力的な機能を持ったコントローラですが、この2機種に関しては、エディターが存在しない(CC設定が固定されている)という点を留意して比較検討していただければと思います。