2015/11/03

audient iD14

ライブ用にオーディオインターフェイスを新調しました。

いままで使用してきたオーディオインターフェイスと比べて使用感が異なる部分があったので、軽くレビュー書いてみます。
入出力など基本的なスペックや音質についてはほぼ触れていませんが、購入を検討されている方の参考になれば幸いです。



現在、スタジオワークで主に使用しているのは、RME UCXとUniversalAudio Apollo Quad FW。
先日までライブ用に使用していた機種は、MOTU MicroBook2。こちらは自分の使用している個体では、出力の不具合が続いたので現役引退です。(ちっちゃいのに多機能な使えるやつでした、後継機種を期待しています)

これらとの比較も交え、audient iD14の印象をまとめてみました。

||||| 外観、付属品 |||||
MicroBook2を1回りちょっと大きくした程度の大きさ、持った際のずっしり感は随分違います。
本体色のシルバーは、MacbookProにかなり近い色合い。
コネクタとボタン以外は、金属製のパーツで構成されていて堅牢な印象。

付属品は、USBケーブルと電源アダプター。
ファンタム電源を使用する場合は、電源アダプターからの給電が必要とのこと。
バスパワー使用時と電源アダプター使用時では、音質に差があるというレビューもあったので、これは是非試してみたいところです。



||||| ボタン、エンコーダ |||||
下部のボタンで選択した項目(スピーカアウト/iD/ヘッドフォンアウト)を、エンコーダで調整します。
エンコーダはクリック付き。

アウトプットの項目を選択した際には、 中央のメータに現在の値が表示されます。
おおまかな表示ですが、視覚的にわかりやすくライブ時にも便利だと感じました。(MicroBook2の場合はソフトウェアの画面で確認する必要あり、UCXは本体に数値のみの表示)

ンコーダをクリックすると、選択中のアウトプットがミュートされます。
ヘッドフォンアウトも独立してミュートできるのは嬉しい仕様、意外と重宝する場面があるはずです。
その際、ボタンが点滅しミュート中であることを知らせてくれます。これも充分わかりやすい。

真ん中のiDボタンですが、このボタンにアサインして使用できるScrollControlという機能が便利です。

この機能を使うと、DAW画面の操作したいパラメータ(ノブやフェーダなど)を、マウスやトラックパッドで動かす代わりに、iD14のエンコーダで値を 動かすことができます。
エンコーダがフィジカルコントローラ的に機能するイメージです。(Novationのコントローラに付いていたSpeedDialと同様の機能)

色々と試したところ、うまく反応しないパラメータもありましたが、フィジコンが苦手とする「いま操作したいパラメータに、すぐに触れる」ことが簡単にできるので、シンプルながら重宝する機能だと思います。

現行機種で、この手の機能を装備しているものって他にあるのでしょうか。近いものとしてGriffinTechnologyのPowerMateが思い浮かびますが、同じようなことができそうでできなかった気が。



||||| ソフトウェア、気になったこと |||||
ミキサーソフトウェアもハード同様にわかりやすく使えます。ただ、表示幅が固定なのが気になりました。

DAWからはステレオ2系統の音声を送れるようになっており、さらにiD14ミキサーソフトウェア内でサブミックスを作成することもできます。これらはマイクレコーディング時に重宝する機能だと思います。せっかくなのでヘッドフォンアウトが2系統あれば、本機のコンパクトさを生かしたモバイルレコーディングツールとして、さらに便利に使用できるだろうなと思いました。

そのほか、トークバック機能も備えていたりと、レコーディング用途を考慮された機能が備えられています。
アナログ入力数が少ないので、多少大げさな機能を盛り込んでいるように感じられるかもしれませんが、ADATイン(S/PDIF切り替え)を備えているので、それによる拡張時には活用できる機能だと思います。

ワードクロック端子は備えていませんが、外部デジタル入力をクロックソースにすることができるので、それを用いて音質の傾向を変える、といったお楽しみも可能かと思います。

本体こそ小さいですが、ある程度設備のそろった環境において、扱う回線数が少なければ、メインのオーディオインターフェイスとして充分に使用できる機材といった印象を受けました。
特にモバイル向きに設計されているというわけではないようですね。

ソフトウェアミキサーについて続けます。
DAWからの音声もオーディオインターフェイス内のミキサーで+6db稼げる仕様になっています。
これはあまり見かけない仕様のように思いました。

そして、その仕様と関連するのかもしれませんが、使用してみて癖を感じたのが、iD14はDAWの出力レベルのピーク管理にかなりシビアになる必要があるということ。

DAWのマスターアウトが0を超えるとiD14の内臓ミキサーで簡単にクリップしてしまうようです。
ableton LiveのようにDAW内で+6あたりまで突っ込んでも平気な仕様に慣れていると、これは戸惑うと思いました。

RME、UA、MOTUのいずれもデジタルミキサー機能のある機種ですが、どれもここまではシビアではありません。
デジタルを扱うなら、その程度は管理して然るべき、という襟を正させられるような気持ちにさせられます。
しかし、いままで随分とデジタルの便利機能に甘やかされてきてるんでしょうねぇ。。



iD14のルーティングの設定にはDAW THRUという機能があり、このルーティングを選択するとDAWからの音声はiD14内臓ミキサーを通らずに出力されます。この場合、内臓ミキサーを介さないためiD14のエンコーダでのボリューム調整ができなくなりますが、前述したクリップは起こりません。

このことからもクリップはミキサーソフトウェア上で起こっているように思われます、ということは将来的にソフトウェアのバージョンアップでクリップしにくい仕様になることもあり得るのでは、と思いました。

以上まとめると、これはやはり現状では、丁寧に音作りを行うスタジオワーク向きな機種だという印象を受けます。

ソフトウェアのバージョンアップで、入力の扱いやすさが楽になるのであれば、もっとカジュアルな使用用途にも向くのでは、と。
同価格帯で競合できる機種が見当たらない製品だけに、是非そうなって欲しいものです。
今回はそういう期待も込めてレビューをアップしてみました。

ライブ使用を目的に購入した自分はどうしょうかしら、というとこですが、製品の作りや音質は気に入っているだけに、もう少し様子見ます。